水に溶けにくい染料を、染められる状態に変える
インディゴは、そのままでは水に溶けにくい染料です。染色では、還元によって水に溶ける状態へ変え、糸を染液に通します。糸を引き上げて空気に触れさせると酸化し、青く発色して水に溶けにくい状態へ戻ります。
染液に浸す工程と酸化させる工程を繰り返すことで、色を重ねていきます。回数だけで色が決まるわけではなく、染液の濃度、温度、還元状態、浸漬時間なども仕上がりに関わります。
なお、工業的なインディゴ染色と、発酵させた藍の染液を使う天然藍染めは、原料や染液の管理方法が異なります。「インディゴ染め」をすべて同じ工程として説明しないことが大切です。
ロープ染色は、経糸を束にして染める
ロープ染色では、デニムの経糸になる多数の糸をロープ状に束ね、インディゴの染液と酸化工程を繰り返します。染色後に糸をほぐし、糊付けなどの工程を経て織機にかけます。
この方法では、染料が糸の表面を中心に付着し、中心部に白さを残す「芯白」が生まれやすくなります。着用や洗濯で表面の染料が少しずつ失われると、内側の白い部分との対比が現れます。
ただし、すべてのデニムがロープ染色とは限りません。シート状に並べた糸を染める方法などもあり、色落ちの見え方は、染色だけでなく糸、織り、整理加工、製品加工、着用、洗濯の影響を受けます。
「色落ち」は摩擦と洗濯が重なって起こる
膝、股、ポケット口、裾など、曲げ伸ばしや摩擦が多い場所では、表面のインディゴが先に失われます。そこで生まれる濃淡が、一般に「アタリ」や「色落ち」と呼ばれる表情です。
洗濯は、汗や汚れを落とす一方、全体の色も少しずつ変化させます。洗濯回数だけで完成形が決まるわけではありません。穿く時間、動き方、生地、サイズ、洗い方によって変化は異なります。
「洗わないほど良い色落ちになる」とは一概に言えません。汚れを長く残すと、臭いや生地の傷みにつながります。色落ちだけでなく、清潔さと生地の状態も考えて手入れします。
天然藍と合成インディゴは、工程も表現も一様ではない
現代のデニムでは、品質を安定させやすい合成インディゴが広く使われています。一方、天然藍を使った製品もあり、原料の調整や染色方法によって独自の色調を狙います。
天然か合成かだけで、色の深さ、環境負荷、品質の優劣を決めることはできません。天然藍でも栽培、発酵、排水、エネルギーを必要とし、合成インディゴでも製造や排水処理の方法は企業ごとに異なります。
商品を選ぶときは、「天然藍使用」という表示だけでなく、染色方法、混用率、製造者の説明を確認するほうが確実です。
生地を見るときの要点
店頭では、色の濃さだけでなく、表面の凹凸、糸のムラ、裏面の色、加工の有無を見ます。硬さや濃さは品質の順位ではなく、用途や好みを判断する材料です。
未洗いのリジッド、縮みを落ち着かせたワンウォッシュ、着用感を再現した加工済みでは、購入後の変化が異なります。メーカーが示す縮率と洗濯方法も確認してください。
まとめ
インディゴ染色では、水に溶けにくい染料を還元して糸に染み込ませ、空気中で酸化させて青く発色させます。ロープ染色で生まれやすい芯白と、着用時の摩擦が、デニム特有の濃淡につながります。
ただし、色落ちは染色方法だけで決まりません。糸、織り、加工、サイズ、着用、洗濯まで含めて一本ごとの変化が生まれます。